不動産登記は、不動産の所有者が誰なのか、この不動産に担保が付いているか等の権利に関する情報が記載されていますので、登記された名義人が所有者であったり、担保を付けた担保権者や、優先順位は登記簿を確認すれば分かる仕組みになっており、取引の安全性を担保するための重要な情報になることから、登記された情報には正確性が求められます。
なので、法務局に所有権移転登記などの権利の移転や、変更の申請をする場合、法務局は申請人と登記された登記名義人が同一人物であるかの確認作業を行います。
確認作業は登記名義人の氏名、住所が申請人の氏名、住所と同一であるかの確認から始まり、その後、申請人の印鑑が実印と相違がないか、登記済証、登記識別情報は所持されているか、権利変動が起きた事実について問題がないかの確認を書面上で行うため、登記名義人が引っ越しをしたり、結婚などで氏名が変更したりした場合、申請人と登記名義人の同一性が確認できないため、登記申請が却下されることになってしまうため、住所氏名が変更された情報を登記に反映させる必要があります。
これまでは、住所、氏名の変更があった時でも、変更があったタイミングではなく、売却をするときや担保を付けるときなどの申請と一緒に変更登記を申請される方がほとんどでしたが、令和8年4月1日から、氏名住所に変更があった時の変更登記については、変更があった時から2年以内に申請をしなければ5万円以下の過料の対象となる事になりました。
この制度が始まるにあたり、登記名義人の義務の負担軽減のため、所有者が自然人の場合については、所有者が変更登記の申請をしなくても、登記官が住民基本台帳法第30条の7第4項に規定する機構保存本人確認情報(住基ネット情報)を検索し、これに基づいて職権で登記を行う仕組みが新設されました。
検索情報の申出があった際に、登記官が職権で住所変更登記を行う場合には、登録免許税が免除されるメリットもあるため、今後、不動産所有者の登記名義人となる方については、この申出制度を活用をしていただく事で、住所氏名変更登記にかかる費用や、過料のリスクを回避できることになります。